2006年2月 8日 (水)
ノラや

猫の本の古典的な名作なのだが……
著者:内田百けん
価格: ¥760(税込)
出版社: 中央公論社
「猫の本」と言うと必ず出てくる一冊。もはや猫本の古典と表現されてもいいような知名度があるこの本を初めて読んだ。
う〜ん……。
ノラが帰って来ないことで内田が泣き、絶望し、捜索にあらゆる手段を用いる様が内田自身によって描かれているのだが、なんとも僕には辛い一冊だった。
辛いというのは、もちろんノラが帰って来ないことではない。同じ内容が何度も何度も繰り返されることだ。何度、途中で読むのを止めようと思ったことか……。
文中で内田自身が語っている。本書は校正刷りを見るのが辛くて、そういった全ての作業を出版社の人間にまかせたそうだ。これだけが原因とは思わないが、担当編集者が思い切ってカットすることも必要だったのではないだろうか(それが可能なことなのかどうかはおいておくとして)? そうすることで作品にメリハリとまとまりがでたように思う。
後半部分は、ノラの入れ替わりでやってくるクルの話。クルが病気で亡くなるまでが描かれているのだが、表題作よりもこのクルの話の方が読み応えがあった。
(URA EVO)
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コメント
私は心に残った作品です。ビデオ(DVD?)でも見たのですが、ノラが茶虎だったので
よけいに心惹かれました
投稿: 銀次郎と鈴 | 2007/04/20 22:48:24